クラッシックカメラの部屋

 ここでは私が趣味で集めたクラッシックカメラを紹介します。クラッシックとはいっても、私の大切なパートナーとして元気に活躍しています。いずれも今のカメラにはない、味わいのある銘機ばかりです。

 

第一話:ローライコードV4

 

 若僧に銘機ローライなんて、と言われるかも知れないが、凡人にとっては「弘法筆を選ぶ」であるとあえて言い切ろう。腕をカバーする銘機を使う方がいい写真が撮れるに決まっている(と思う)。とはいえ高嶺の花である。周りに使っている人でもいなければ見ることも稀である。私の場合幸運なことに、職場の備品落ちとなっていた彼女に偶然出会うことができた。 

 無理を言って借り出し神戸に撮影旅行に出かけたのは、寒い冬の曇日であった。正直後に出会うローライフレックスに比べるとやや頼り無いボディだ。どうして左側にシャッターがあるんだろう、押しにくいじゃないかと最初は感じた。そのためじっくり扱う必要がある。真剣に被写体に対峙するためにわざとこのような機能にしたのかもしれない。

 ありがちな表現だが、出来上がったプリントを見て驚いた。中判特有のねっとりとした画質もさることながら、開放に近い絞りのはずなのに均一なシャープさ。すぐに同型機を購入することを決めた。

 個人輸入がブームになる前であり、円高の恩恵を受けたこともあって20,000円程度で入手することができた。ドイツからニューヨークを経て日本にやってきた彼女を、お色直しということで購入当時まだ現行機であったマミヤC330用のスクリーンを装着し、慎重なピント調整をして使用している。同じくニューヨークからやってきた特殊なシャッターボタンを装着して、息を止めて押すシャッター音は、遠き時代を忍ばせる。同じく写真を趣味とする友人の言葉を借りれば、私より年上の昭和29年生まれの彼女は今までにどんな時代をその二つの目で見てきたのであろうか。今は私のマンションのベランダから、きっともっと年上の、20mはある大木の四季をを見つめている。                  (第一話 終)

作例:中華街の親子(1993.1.23)